荒川の風が吹き抜ける緑豊かな街並みの一角。師匠である元大関・魁皇の浅香山親方が率いる浅香山部屋には、朝早くから力士たちの激しいぶつかり合いの音が響き渡る。土煙が舞う中、間垣親方は土俵際でじっと若手の足元を見つめている。
「頭ごなしに怒鳴っても、今の若い子は身体を壊すだけですよ」
間垣親方は穏やかに語る。大相撲の伝統的な稽古は、ときに過酷な反復練習による「体で覚える」スタイルが主流だった。だが、親方が実践するのは徹底した言語化だ。なぜ踏み込みが甘かったのか。どの筋肉に負荷がかかり、重心がどう逃げたのか。外国人出身力士として日本語をゼロから学び、自らの肉体を極限までコントロールしてきた経験が、独自の指導論へと結実している。
浅香山親方の重厚な存在感と、間垣親方のきめ細やかなサポート。この二頭体制が、部屋の若手力士たちに確かな成長をもたらしている。