ネット上には酉の市や浅草鷲神社に関して様々な都市伝説や誤った解釈が流布しています。ここでは代表的な3つの誤解を正します。
誤解1:「熊手は前年より小さくしてはいけない」という絶対的縛り
「一度熊手を買ったら、前年より大きなサイズを買い続けないと事業が傾く」という言説が広く信じられています。しかし、これは熊手商の商売繁盛から生まれた俗説に過ぎません。 実際の信仰の本質は「感謝と身の丈」です。仮に事業環境が厳しく予算を縮小せざるを得ない年であっても、前年の無事を感謝し、無理のないサイズの熊手を真心を込めて受けることに何ら障りはありません。神仏は虚栄心ではなく誠意を重んじます。重荷に感じるほどのサイズを無理して買う必要は全くありません。
誤解2:「鷲神社と長國寺はどちらか一方だけ行けば良い」という思い込み
浅草鷲神社のすぐ隣には、日蓮宗の「長國寺(ちょうこくじ)」が隣接しています。実は明治の神仏分離令以前、両者は「鷲大明神」を祀る一体の寺社(浅草酉の寺)でした。 長國寺でも本尊「鷲妙見大菩薩」が開帳され、独自の縁起熊手「福めぐり熊手」が授与されています。歴史的なルーツを同じくする両方を参拝する「神仏習合の両参り」を行うことこそが、江戸古来の最も由緒ある正式な参拝手順です。神社だけを参拝して寺院を素通りしてしまうのは、極めてもったいない盲点といえます。
誤解3:「古い熊手はどこで処分しても同じ」という勘違い
前年1年間お世話になった熊手は、鷲神社の境内に設置される「古札納所(熊手納め所)」へ返納するのが本義です。 一般的な家庭ゴミとして無造作に廃棄するのは避けたいところです。どうしても当日に持参できない場合は、地域の氏神様(神社)のお焚き上げに納めるか、やむを得ず家庭で処分する際も塩を振って白い紙に包み、これまでの守護に感謝を捧げてから手放すのが礼儀作法です。