愛犬の歯石除去で死亡事故はなぜ起こる?麻酔と無麻酔の真実と確率

愛犬の歯石除去で死亡事故はなぜ起こる?麻酔と無麻酔の真実と確率

愛犬の歯石除去で死亡事故はなぜ起こる?麻酔と無麻酔の真実と確率の基礎知識と応用に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

実際の現場では、歯石除去をめぐってどのようなドラマや後悔が生まれているのでしょうか。SNSやYahoo!知恵袋、そして飼い主の手記や獣医師の現場証言から、リアルな体験談を検証します。

まず浮き彫りになるのが、無麻酔処置を選んだ飼い主の痛切な後悔の声です。ある11歳のミニチュア・ダックスフンドの飼い主は、当時の経験を次のように振り返っています。

「麻酔で死んでしまうのが怖くて、ネットで評判だった『無麻酔歯石取り』のサロンに連れて行きました。30分ほどで奥歯の茶色い塊が綺麗に取れて喜んでいたのですが、その日の夜から愛犬がガタガタと震え出し、呼吸が浅くなってぐったりしてしまったんです。夜間救急の動物病院に駆け込んだところ、歯石の破片を吸い込んだことによる『誤嚥性肺炎』と診断され、酸素室に1週間入院して生死の境をさまよいました。獣医さんから『表面の歯石を取っただけで、歯の根元は腐ったままですよ』とレントゲンを見せられた時は、自分の無知さで愛犬を殺しかけたと涙が止まりませんでした」

一方で、高齢であることを理由に迷い抜いた末、動物病院での全身麻酔スケーリングを決断した13歳のトイ・プードルの飼い主からは、全く異なる証言が寄せられています。

「10歳を過ぎた頃から口臭がひどく、13歳になってからは片方の鼻から膿混じりの鼻水が出るようになりました。高齢なので麻酔の同意書にサインする時は手が震えましたが、歯科に強い動物病院で心臓エコーや血液検査を徹底的に行い、『この心臓の状態なら麻酔に十分耐えられる』という先生の言葉を信じてお願いしました。結果的にグラグラだった歯を14本抜歯しましたが、退院して3日後には、ここ数年見たことがないくらいガツガツとご飯を食べ、おもちゃを振り回して遊ぶようになったんです。『老衰で元気がない』と思っていたのは間違いで、ただ歯が痛くてたまらなかっただけなのだと気づき、もっと早く決断してあげればよかったと痛感しました」

また、10年間で麻酔による死亡事故ゼロを継続している「ごとふ動物病院」などの現場獣医師の解説でも、「麻酔のリスクはゼロではないが、事前の精密検査と適切なモニター管理を行えば、シニア犬であっても安全に処置を終えられるケースが圧倒的に多い」と強調されています。ネット上の「麻酔で死んだ」という書き込みの多くは、実は「歯石除去の麻酔」ではなく、すでに末期の重病(重度の心不全や腫瘍破裂など)を抱えた状態での緊急手術の事例と混同されて拡散しているケースも少なくありません。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。