多くの読者や視聴者に癒えない傷を残したセドリック・ディゴリーの死亡理由は、緻密に仕組まれた罠の行き着く果てに発生した「計画外の巻き添え」でした。物語のクライマックスである三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)の最終課題、巨大な迷路の奥底で、ハリーとセドリックは互いの武勇を称え合い、優勝杯へ同時に手を伸ばします。しかし、その優勝カップは死喰い人(デスイーター)のバーティ・クラウチ・ジュニアによって、ヴォルデモートが潜むリトル・ハングルトンの墓地へ繋がる移動キー(ポートキー)に改造されていました。
墓地に転移した直後、混乱する二人の前に現れたのは、衰弱した姿のヴォルデモートを抱えたピーター・ペティグリュー(ワームテール)でした。ヴォルデモートが冷酷に放った「邪魔者は消せ(Kill the spare)」というわずか一言の命令により、ペティグリューの手から放たれたアバダケダブラ(死の呪文)の緑の閃光がセドリックの胸を直撃します。彼には戦う隙も、弁明の余地も一切与えられませんでした。
つまり、セドリックの死因の本質は、対立や戦闘の結果ではなく「居合わせただけの無関係な余分者」として処理された点にあります。原作者J.K.ローリングは当時のインタビューにおいて、「ヴォルデモートという絶対悪の冷酷さと、戦争における理不尽な死の現実をハリーに突きつけるため、非の打ち所がない善良な少年を犠牲にする必要があった」と回顧録で明かしています。この瞬間を境に、シリーズは児童文学の枠組みを完全に脱し、命の喪失とシビアに向き合うダークファンタジーへと舵を切ることになりました。