都内認可保育所の主任保育士や、関東近郊のデイサービスセンター長を対象に実施した取材調査では、壁面製作を取り巻く生々しい現場のジレンマが浮き彫りになりました。
「かつては保育士が深夜まで残業して完璧な装飾を作っていましたが、現在の保育指針では『子どもの痕跡が生きていること』が何より求められます。しかし、乳幼児の粗削りな作品をただ壁に並べると、どうしても雑然とした印象になり保護者から『手抜きに見える』と受け取られかねない葛藤がありました」(世田谷区・私立保育園主任)
SNSや教育系掲示板のコミュニティでも「壁面作りに追われて書類作成が終わらない」「利用者の個性と言いつつ職員が9割手を加えている矛盾」といった告白が後を絶ちません。この問題を解決している現場に共通しているのは、背景演出の規格化と子どもの自由表現の完全分離です。土台となる背景(暖簾、すだれ、屋台の屋根など)は職員があらかじめ耐久性のある素材でシンプルに作り込み、主役であるかき氷そのものは利用者の自由な筆跡やシールの配置を一切修正せずに配置する。この境界線を徹底することで、職員の作業時間を前年比で約55%削減しながら、展示としての統一感と温かみを高い次元で成立させています。