専用のパエリア鍋を買い揃える必要はありません。底が広く浅い26〜28cmの一般的なテフロン加工や鉄のフライパンが、熱伝導と水分蒸発の観点から最も家庭調理に適しています。
鶏肉とあさりの旨味を引き出す下ごしらえ
パエリアの味の土台となるのは、具材から抽出されるイノシン酸とグルタミン酸の相乗効果です。鶏もも肉は皮目をじっくり焼き付けて脂と香ばしさを引き出し、砂抜きした殻付きあさりを白ワインとともに蒸し焼きにして、貝類特有のコハク酸が溶け出した濃厚スープをあらかじめフライパン内で生成します。
シーフードミックスの劇的活用テクニック
ニチレイフーズをはじめとする冷凍食品専門家が推奨するように、冷凍シーフードミックスをそのまま凍った状態でフライパンに投入すると、解凍時に生臭いドリップが溢れ出し、米が水っぽくなる原因になります。約3%の塩水に浸して半解凍させ、キッチンペーパーで水気を完全に拭き取ってから表面だけを軽くソテーして一度取り出しておくのが、身を縮ませずプリプリに仕上げる秘訣です。
失敗しないおこげ(ソカラ)の作り方
スペイン現地で「ソカラ(Socarrat)」と呼ばれる香ばしいおこげは、パエリアの最大の醍醐味です。出張料理人・ガッキー氏の指南によると、おこげ作りの合図は「音と香り」で判断します。
水分がほぼ飛んだ最終段階でフライパンの蓋を取り、火力を中強火に上げます。パチパチという静かな音から「チリチリ、ジリジリ」という高音の乾いた破裂音に変わり、オリーブオイルが焼ける芳ばしい香りが立ち上ってきたら、加熱開始から約1〜2分で火を止めます。底面をスプーンで軽く触り、カリッとした抵抗感があれば完璧なソカラの完成です。