西麻布のイタリアン名店として語り継がれるアルポルトの歴史は、片岡護シェフの類まれなキャリアとともに歩んできました。1948年生まれの片岡シェフは、日本におけるイタリア料理黎明期にミラノの日本総領事館付き料理人として渡伊。現地の家庭料理からリストランテの最先端技法までを吸収し、帰国後の1983年に西麻布で「リストランテ アルポルト」を開業しました。
当時の日本のイタリアンは、大皿のパスタやピッツァを大人数でシェアする大衆的なスタイルが主流でした。その中で片岡氏が打ち出したのは、「日本人の繊細な舌に寄り添い、旬の魚介や野菜を少しずつ美しく味わう」という革新的なアプローチです。この懐石風イタリアンは瞬く間に評判を呼び、数々のメディアや料理番組を通じて全国区の知名度を獲得しました。
片岡護シェフの経歴と現在に目を向けると、料理人としての円熟味を増す一方で、次世代への技術継承にも精力的に取り組んでいます。息子の片岡宏之氏をはじめとする熟練のスタッフとともに厨房に立ち続け、長年通い詰める常連客から若い世代の美食家まで、訪れる人々を温かい笑顔と妥協のない一皿で迎え入れています。