膝の痛みを訴える患者の間で最も誤解が多いのが「関節水腫」、いわゆる膝に水がたまる現象です。SNSや知恵袋等のコミュニティでは「一度水を抜くとクセになるから抜いてはいけない」という俗説が根強く囁かれていますが、これは医学的に明確な誤りです。
膝に水がたまる理由は、関節内部の炎症を抑えるために関節液(滑液)が過剰分泌される防衛反応にあります。水がたまるから炎症が起きるのではなく、「炎症が起きているから水がたまる」のです。関節液がパンパンに充満すると、関節内圧が上昇してさらなる激痛を招き、周囲の毛細血管を圧迫して組織の修復を妨げます。専門医による穿刺(水を抜く処置)は、内圧を下げて痛みを劇的に緩和させ、関節液の性状(混濁度や出血の有無)から病態を正確に評価するための有効な治療的処置です。