昭和後期から平成、そして令和へ。半世紀近い歴史を持つボーイズラブ(BL)文化だが、その初期作品の多くは個人出版(同人誌)や小規模出版社による紙媒体であり、散逸の危機に瀕していた。散失すれば二度と手に入らない貴重な文化動態の記録。これを食い止めるべく立ち上がったのが、有志の文芸研究者や元書店員たちだ。
保存されているのは単なる漫画本にとどまらない。当時の熱量を伝えるファンジン、著者へのインタビュー記事、さらには当時の装丁技術を示す印刷物まで多岐にわたる。消え去るはずだった「個人の愛好」が集積され、時代の精神史を映し出す貴重な歴史的ドキュメントとして、新たな価値を放ち始めている。