外陰部や鼠径部という極めてプライベートな部位だからこそ、「手術後の傷跡」に対する恐怖は計り知れない。メスで紡錘形に大きく皮膚を切り取る従来の手術法を聞かされ、手術を断念してしまう患者もかつては多かった。
現代の形成外科治療において主流となっているのが、トレパンと呼ばれる特殊な円形メスを用いる低侵襲手術「くり抜き法」だ。患部の中心にわずか直径数ミリメートル(通常2〜4mm程度)の小さな穴を開け、そこから内部の角質を押し出した上で、萎んだ嚢腫の壁をピンセットで慎重に引き抜く。切開創が極小で済むため、術後の痛みが極めて軽く、縫合が不要もしくは1〜2針の微小縫合で済むケースが多い。
皮膚の進展性が高く血流が豊富な陰部組織において、くり抜き法がもたらすメリットは絶大だ。術後の傷跡は時間の経過とともに周囲の皮膚のシワと同化し、肉眼ではほとんど判別がつかないレベルにまで回復する。痛みを恐れて闇雲に先送りにする時代はとうに過ぎ去っている。