映画ジャーナリズムの視点から見ると、漫画の実写化における最大の落とし穴は「原作の完全再現」を目指しすぎて映画としてのダイナミズムを失うか、逆に「ハリウッド流の換骨奪胎」を行いすぎてファンを失望させるかの二者択一に陥ることです。『ワンパンマン』はその両極のちょうど真ん中に位置する、極めて舵取りが困難なIPです。
本作の鑑賞・情報追跡において、読者が持つべき判断基準を以下に提示します。
【期待して待つべき人の条件】
- ジャスティン・リン監督が得意とする、既存の物理法則を超越したド派手なアクションシネマを純粋に大画面で体感したい人
- ダン・ハーモン流のアイロニカルで皮肉の効いたメタヒーローコメディとして、原作の「別バージョン」を受け入れられる人
- CG技術の粋を尽くしたS級ヒーローや怪人たちのビジュアルショックを楽しみたい人
【慎重に見守るべき人の条件】
- 村田雄介氏の精緻なコマ割りや、アニメ第1期で見られた神作画アクションの完全トレースを期待している人
- サイタマの内面描写やギャグの間(ま)に関して、日本特有の空気感に強いこだわりを持っている人