生理周期に伴って発生する頭痛は、医学界において「月経関連片頭痛」として明確に定義されています。通常の片頭痛と比較して「発作の持続時間が長い」「痛みの強度が極めて強い」「一般的な市販薬が著しく効きにくい」という過酷な3大特徴を有しており、多くの女性の生活の質(QOL)を著しく損なう要因となっています。
この激痛を引き起こす引き金は、排卵後に向けて高まっていた女性ホルモン、特にエストロゲン(卵胞ホルモン)の急激な分泌低下(急減)です。エストロゲンが血中から急速に減少し始めると、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」の分泌バランスが同時に大きく乱れます。セロトニンには血管を適切に収縮・安定させる働きがありますが、ホルモン低下によってこれが急激に消費・欠乏すると、反動で側頭部を中心とする脳の血管が一気に拡張し、周囲を取り巻く三叉神経を猛烈に圧迫・刺激する事態を招きます。
さらに見逃せないのが、子宮内膜から過剰に分泌される生理活性物質プロスタグランジンの存在です。子宮を収縮させて経血を体外へ押し出す役割を担うこの物質は、血流に乗って全身を巡ります。血管の攣縮や知覚神経の過敏化を引き起こすため、下腹部痛だけでなく、全身の倦怠感や頭部への強い痛み、さらには胃腸の過剰な動きを誘発して生理中の激しい吐き気や嘔吐を連動して引き起こすのです。