愛媛県西予市に広がる卯之町の町並みは、2009年(平成21年)に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された四国屈指の歴史地区です。かつて宇和島街道の重要な宿場町として機能し、商人や旅人が行き交う商業の中心地として繁栄を極めました。
通りに足を踏み入れると、まず目を奪われるのが重厚な「うだつ(卯建)」を備えた商家や、美しい漆喰の「白壁」、繊細な陰影を生み出す「出格子」の造作です。江戸時代中期の妻入り町家から、明治・大正期の平入り町家、昭和初期の近代建築までが同一の街路に美しく共存しており、日本の町並み史の変遷をひと目で辿ることができます。
過度な商業化を避け、地域住民の穏やかな日常生活が息づいている点も卯之町の際立った特徴です。観光地特有の喧騒から離れ、心地よい静寂の中で建築のディテールや歴史の息吹をじっくりと感じ取ることができます。