安倍派(清和政策研究会)、岸田派(宏池会)、二階派(志帥会)、森山派(近未来政治研究会)など党内主要派閥が相次いで解散を表明する中、なぜ麻生派だけは解散しないのか。報道各社の取材データや派内幹部の証言から浮き彫りになるのは、麻生太郎氏が抱く冷徹な権力維持への計算です。
麻生派が解散しない第1の理由は、「政策集団としての正当性と結束の維持」です。麻生氏は周囲に対し「政策の勉強会や若手育成の場をなくすことが政治刷新ではない」と一貫して主張してきました。派閥のパーティー券問題で志公会からも形式的な記載漏れなどは指摘されたものの、組織的な裏金プールシステムが存在しなかったという自負が、看板を下ろさない最大の論拠となっています。
第2の理由は、「党内キャスティングボートの独占」です。他派閥が無派閥化し統制を失う中、50人規模の議員が一体となって行動できる麻生派は、国会運営や首班指名、内閣改造において圧倒的な影響力を誇ります。麻生氏を支える幹部議員の一人は、オフレコ取材に対し「派閥を維持しているからこそ、総理・総裁も麻生副総裁の顔色を伺わざるを得ない。解散すれば単なる烏合の衆になる」と語っています。
そして第3に、麻生政治の根底に流れる「義理と人情とやせ我慢」の美学です。麻生氏はかつて、長年の盟友であり最側近として派閥を支えた故・松本純氏に対し、この言葉を贈っています。逆風の時こそ仲間を見捨てず、批判を浴びても自らの信念を曲げないという姿勢こそが派閥の結束の接着剤となっており、安易な世論迎合による解散を選ばなかった理由と言えます。