『蛇にピアス』をはじめ、初期の代表作で鮮烈な印象を残した「ARATA」という名前。彼が30代後半を迎えた2012年、突如として本名である井浦新へ改名した理由には、役者としての深い矜持と覚悟がありました。
最大の転機となったのは、故・若松孝二監督の映画『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』で主演の三島由紀夫役を務めたことです。日本文学界の巨星であり、激動の昭和を駆け抜けた三島を演じるにあたり、エンドロールにアルファベット表記の芸名が流れることに強い違和感を覚えたと後に語っています。「日本の思想や精神を体現した人物を演じる以上、自分自身のルーツである本名でクレジットされるべきだ」という強い決断が、現在の俳優・井浦新の誕生へとつながりました。