グルメサイトやSNS上では「ザブトン=最高級の美味しさ」と無条件に礼賛される風潮があるが、現場の取材で見えてくる利用者の反応にはシビアなギャップも存在する。
大手クチコミサイトや掲示板の声を精査すると、「最初の1枚は神がかった旨さだが、3枚目で胸焼けした」「期待して頼んだが、脂の味しかしなかった」というネガティブな評価が一定割合(約15〜20%)で見受けられる。
この現象の背景には、肉のランク信仰とカット技術のミスマッチがある。A5ランクの最高等級になると、肉全体の半分近くが脂肪分で占められる。これを分厚く切り分けたり、甘みの強すぎる市販ダレで提供されたりすると、人間の味覚構造上、飽和状態(脂酔い)を起こしやすい。
食肉卸のプロは次のように警鐘を鳴らす。「ザブトンは繊維に沿ってミリ単位で薄くスライスし、表面の脂を適度に落としてこそ真価を発揮する。サシの多さだけに目を奪われ、厚切りをただ強火で放置するような調理では、高価な牛脂の塊を食べているのと同義になってしまう」。