感染の初期段階では、成虫の数が数匹から十数匹程度と極めて少ないため、本人が異変を自覚することはほとんどありません。一般的に潜伏期間と初期症状が現れるまでのタイムラグは、感染からおよそ2週間から1ヶ月程度とされています。
アタマジラミは1日に数回、頭皮に口器を突き刺して吸血します。その際、宿主の血液が凝固するのを防ぐために唾液腺から抗凝固作用を持つ麻酔様成分を注入します。この異種タンパク質に対して人体の免疫系が感作され、アレルギー反応が生じるまでに一定の時間を要するからです。初期には「なんとなく頭がムズムズする」程度だった感覚が、成虫の増殖とともに激しい掻痒感へと変貌します。
特に注視すべきは、子どもの就寝時や集中している時の無意識の仕草です。アタマジラミは体温が高く蒸れやすい耳の後ろや襟足(後頭部)に好んで潜伏し、産卵します。テレビを見ているときや眠りに入る前、子どもが頻繁に耳の後ろやうなじをポリポリと掻く姿を見せたら、それは明確な危険信号です。頭皮に赤い点状の刺し傷やかさぶた、あるいは湿疹様のかぶれが見られる場合、すでに頭髪内では第2世代の孵化が進行している可能性を疑わなければなりません。