SNSやコミュニティの投稿を観察すると、「重要な英単語や仕事のタスクはすぐ忘れるのに、小学生の頃に見たCMのフレーズや友人の些細な一言はずっと記憶の片隅に残っている」という共感の声が目立ちます。
心理学では、これを「感情価(エモーショナル・バレンス)」と「文脈効果」の影響として説明します。一見無意味に思える断片的な記憶であっても、その瞬間に微小な驚きや安心感、あるいは独特の居心地の良さといった感情の揺らぎが付随していた場合、脳内の扁桃体が活性化し、情報が長期記憶の領域へと深く定着します。
意識的に努力して暗記しようとする知識よりも、無防備な状態で受け取った感覚刺激の方が、純粋な潜在記憶として「片隅」に残りやすいという脳の逆説的な性質がここに現れています。