出場者発表直後の紅白歌合戦のネットの反応をソーシャルリスニングツールで追跡すると、X(旧Twitter)では関連ワードがトレンドのトップ10を独占しました。タイムラインには推しの初出場を祝うファンアートやお祝いメッセージが溢れる一方、落選したアーティストのファンコミュニティからは悲痛な叫びが上がっています。
5ちゃんねるや知恵袋、Yahoo!ニュースのコメント欄で目立ったのは、いわゆる「お茶の間層」と「熱心な音楽ファン」の意識の乖離です。「知らないアーティストばかりで誰を観ればいいのか分からない」「家族全員で口ずさめる曲がなくなった」という伝統的な紅白像を求める声に対し、若年層からは「今年の音楽トレンドを忠実に反映している」「サブスクで聴きまくったアーティストが揃っていて最高」というポジティブな評価が寄せられています。
特筆すべきは、落選理由をめぐるファンダムの推察合戦です。「事務所の枠争いに負けたのではないか」「NHKの別番組を断ったペナルティでは」といった根拠のない憶測が飛び交う現象について、メディア社会学の研究者は次のように指摘します。
「大衆が共有する単一のヒット曲が存在しなくなった時代において、紅白はファンダムにとっての『社会的承認の舞台』と化しています。推しが出場できないことは、自分たちの愛するカルチャーが社会的に否定されたように感じられ、結果として陰謀論的な落選理由を探してしまう心理的リアクタンスが働くのです」