店頭に並ぶキャベツは、収穫されて根を切り落とされた後も、生きている植物として呼吸と代謝を繰り返しています。ここで鍵を握るのが、キャベツの芯に存在する「成長点」です。青果生理学の分析データによると、キャベツは収穫後も成長を続けようとする強い生命力を持っており、外側の葉に蓄えられた水分、糖分、アミノ酸、そしてビタミンCなどの栄養素を、すべて中心にある芯(成長点)へと送り込んでしまいます。
この現象を植物生理学では「栄養転流」と呼びます。芯をそのまま放置したキャベツの葉が時間とともに薄くなり、外側からシナシナとしおれて甘みが抜けていくのは、芯が葉のエネルギーを奪い取って成長を続けようとしているからです。つまり、キャベツの芯を抜く最大の理由は、この成長点を物理的に破壊・除去し、栄養と水分の強奪を食い止める点にあります。
さらに、成長を続けるキャベツは自ら老化ホルモンであるエチレンガスを放出し、自らを急速に劣化させてしまいます。芯を取り除いてその空洞に水分を補給してやれば、キャベツは「冬眠状態」に入り、葉のみずみずしさとパリッとした食感を驚くほど長い期間キープできるようになります。