実際に賞味期限切れの水を保管・処分した現場では、どのような事象が起きているのでしょうか。SNSやネットコミュニティ、自治体の備蓄管理現場の声を集約すると、生活者のリアルな葛藤と実態が浮き彫りになります。
知恵袋や大手掲示板では、「物置から出てきた7年前の2Lペットボトルを恐る恐る飲んでみたが、お腹は何ともなかった。ただ、プラスチックと埃が混ざったような違和感のある風味が鼻に抜けた」「地震対策で買った水を10年放置していたら、ボトルが極端に潰れて水が半分近くに減っていた」といった体験談が散見されます。
一方で、学校や地方自治体の防災備蓄を管理する担当者の証言からは、制度と現実のギャップが垣間見えます。ある自治体の防災担当者は次のように明かしています。
「賞味期限を迎えた備蓄水は、定期的な入れ替えで毎年数千本単位で更新されます。水質検査を行えば完全に無菌であり飲用可能であることは分かっていますが、公的機関として期限切れの食品を市民へ配ることはコンプライアンス上できません。近年は廃棄処分によるフードロスを避けるため、消防団の放水訓練資材や、庁舎内の清掃・生活用水への転用、さらには希望する住民への『生活用水専用』としての無償譲渡など、現場で工夫を凝らして活用しています」
このように、「安全性としては耐えうるが、食品衛生の規定や風味の観点からそのまま飲むには躊躇がある」というのが、現場が直面している偽らざる実態です。