結婚式におけるマナーの根底には、「自分と新郎新婦との関係性」に応じた役割意識があります。ネイビースーツを着て良いかどうかの判断は、まさにこの立場によって二分されます。
親族(兄弟・従兄弟・叔父など)としての参列
新郎新婦の親族として出席する場合、立場は「招待されるゲスト」ではなく、ゲストを迎え入れる「ホスト(主催者)側」になります。ホスト側は、参列するいかなるゲストよりも同等以上の格式を保つことが絶対のマナーです。
そのため、親族の男性は礼服(ブラックスーツ)を着用するのが国内の暗黙のルールです。20代前半の弟や従兄弟が、濃紺のダークネイビースーツを端正に着こなす程度であれば容認されるケースも増えていますが、両家の親族が顔を合わせる集合写真や親族控室において、一人だけネイビーを着ていると親族間の摩擦や不要な指摘を生む恐れがあります。特に格式を重んじる家柄や厳粛な神前式においては、迷わず略礼服を選ぶことが賢明な判断です。
友人・職場の同僚・後輩としての参列
一方で、友人や同僚として招待された場合、役割は会場を華やかに盛り上げる「ゲスト(招待客)」です。この立場であれば、ダークネイビースーツの着用は大いに歓迎されます。
黒一色の略礼服で固められた円卓よりも、上質な濃紺スーツを美しく着こなした参列者が集う光景のほうが、現代のウェディングシーンではスタイリッシュで祝祭感に満ちた空間を創出します。ただし、新郎新婦の直属の上司や主賓として挨拶を任されている場合は、友人よりも一段高いフォーマル度が求められるため、ブラックスーツまたはシルバーグレーのベストを取り入れた極めて格式の高い装いが求められます。