順風満帆に見える半世紀の歴史ですが、幾度となく「シリーズ終了」の危機が東映とバンダイの会議室で議論されてきました。その最大の波乱が訪れたのは、1980年代末から1990年代初頭にかけての過渡期です。
1990年放送の『地球戦隊ファイブマン』は、少子化や裏番組との競合、マンネリ化が重なり、平均視聴率が歴代最低水準(約6.5%)まで落ち込みました。スポンサー関係者や制作陣の間では「次の作品で数字が取れなければシリーズそのものを打ち切る」という非情な通達が下されていたことが、後の制作関係者の手記やインタビューで明かされています。
この絶体絶命の危機を救ったのが、1991年の『鳥人戦隊ジェットマン』でした。メインライターに抜擢された井上敏樹は、従来の「勧善懲悪のお約束」を打破。戦隊メンバー同士の激しい三角関係、敵幹部との禁断の愛憎劇など、当時社会現象だったトレンディドラマの構造を大胆に注入しました。結末で描かれたブラックコンドル・結城凱の伝説的なラストシーンは、子ども向け番組の枠組みを根底から覆し、主婦層やハイティーン層をも巻き込む熱狂を生み出して番組を大ヒットへ導いたのです。
歴代視聴率の推移を振り返ると、昭和期には『秘密戦隊ゴレンジャー』が最高視聴率22.3%を記録し、お茶の間の絶対的な娯楽として君臨していました。しかし、平成中期以降はリアルタイム視聴率から「玩具・キャラクタービジネスの総売上(国内・海外合算)」へと評価軸がシフトしていきます。
2001年の『百獣戦隊ガオレンジャー』では、精巧な合金フィギュア「パワーアニマル」の爆発的人気により、玩具売上がシリーズ歴代最高クラスの100億円超を記録。視聴率という単一の指標に依存せず、多角的なメディアミックスと海外放映権によって持続可能なビジネスモデルを確立していきました。