「小学校まではリレーの選手だったのに、中学生になってからタイムが伸びず、むしろ遅くなった気がする」と悩む生徒は非常に多く存在します。この現象の背後には、本人の努力不足ではなく、身体発育における明確なメカニズムが存在します。
最大の要因は、成長期特有の「クラムジー(Clumsy)現象」です。急激に身長が伸び、手足の骨が長くなると、脳が認識している身体の重心位置や手足の長さの感覚と、実際の物理的な肉体にギャップが生じます。その結果、自分の身体を思い通りにコントロールできなくなり、走るフォームがバラバラになって一時的にタイムが落ち込むのです。
また、成長痛の代表格である「オスグッド・シュラッター病(膝下の痛み)」や踵の痛みをかばうことで、無意識に足の接地が崩れているケースも多発します。この時期に「遅くなった」と焦って無理な走り込みを繰り返すと、フォームの乱れを固定化させ、深刻なスポーツ障害につながるリスクがあるため注意が必要です。