大井川流域、とりわけ静岡県吉田町うなぎの養殖がこれほどまでに高く評価される最大の理由は、南アルプスに源を発する大井川伏流水の存在にあります。鰻の肉質や風味は、育つ水と出荷前の「締め水(泥抜き)」の水質に直結します。ミネラルバランスに優れた冷涼な伏流水に数日間さらすことで、鰻特有の泥臭さや余分な油分が抜け落ち、澄み切った旨味だけが凝縮されるのです。
さらに、大井川水系は全国的にも名高い養殖鰻の最高峰「共水うなぎ」の生産地としても知られています。共水うなぎは、天然うなぎに極めて近い環境とストレスフリーな飼育管理を施し、通常の2倍以上の時間をかけてじっくり育てられます。現地養殖場の関係者は次のように語っています。「単に大きく太らせるのではなく、大井川の清らかな水で身を引き締め、細やかな霜降り状の脂を定着させることが、口の中でとろける食感を生む鍵になる」。この徹底した水へのこだわりこそが、全国の国産うなぎ産地の中でも大井川産が別格視される所以です。