世界屈指のパティシエである青木定治氏が、故郷である日本へ逆輸入の形で凱旋出店を果たしたのが2005年。その原点となったのが、千代田区丸の内の「新国際ビル」1階に構える丸の内店です。白を基調としたミニマルで洗練された店内は、パリのブティックを彷彿とさせ、ショーケースには色鮮やかなガトーやショコラ、マカロンが宝石のように並びます。
この店舗が四半世紀近くにわたり絶大な人気を維持し続けている背景には、青木定治パティシエの卓越した経歴と確固たる哲学があります。1968年生まれの青木氏は、国内での修行を経て1989年に単身渡仏。名だたる名店で研鑽を積み、1998年にパリにアトリエを開設、2001年にはパリ6区のサンジェルマン・デ・プレに自身の1号店をオープンさせました。フランスパティシエ協会「ルレ・デセール」の会員であり、パリ市庁舎から表彰を受けるなど、フランス本国で外国人として最高峰の評価を勝ち取った実力派です。
青木氏が提唱し続けるのは、「基本に忠実でありながら、素材のポテンシャルを極限まで引き出す」という引き算の美学です。エシレバターやフランス産小麦をはじめとする最高級の原材料を妥協なく使用し、フランスの伝統技術を厳密に守りながらも、和の美意識を融合させるアプローチは、当時の日本スイーツ界に鮮烈な衝撃を与えました。丸の内店は、まさにその青木氏のフィロソフィーを最も純度の高い状態で体験できる旗艦店としての重責を担い続けています。