本作を読み解く上で欠かせないのが、複雑に絡み合う登場人物の人間模様と、主人公・プンプンの不可解な外見の変遷です。
プンプンは物語の進行に応じて、以下のようにそのビジュアルを激変させていきます。
- 幼少期〜少年期(ヒヨコのような鳥型):無垢で傷つきやすい子どもの自我。周囲の世界を純粋に受容している状態。
- 思春期(三角錐のオブジェ状):自己同一性の揺らぎ。他者とのコミュニケーションを拒絶し、内にこもる思春期の閉塞感。
- 青年期・暗黒期(巨大な怪獣・異形の漆黒の角):怒り、暴力衝動、愛子への歪んだ執着によって精神が完全に闇堕ちした状態。
- 現実逃避期(人間のリアルな顔パーツの混在):社会に適応しようと取り繕う仮面と、剥き出しの狂気の狭間。
この姿の変化は、周囲の人間から実際にそのように見えているわけではありません。作中の登場人物たちには、プンプンは「ごく普通の一般的な青年」として見えています。つまり、あの異形はプンプンの主観的な自己認識であり、読者に対してのみ開示されている心象風景なのです。
また、叔父の雄一から教わった呪文「神様神様チンクルホイ」によって呼び出されるアフロヘアーの「神様」の正体についても議論が絶えません。この神様は超越的な救済者ではなく、プンプン自身の無意識下にある醜い本音や攻撃的願望の投射に過ぎません。責任転嫁の対象として自らが生み出した「内なる悪魔」であり、神様の甘言に従うたびにプンプンは破滅的な選択へと突き進むことになります。