「紙巻きタバコをやめてアイコスに乗り換えたから健康になった」と実感する喫煙者は少なくありません。朝起きたときの喉のイガらっぽさが減り、衣服に染みつく強烈なタバコ臭が消えたことで、体への負担が劇的に軽くなったと錯覚しがちです。しかし、医学的な視点からアイコスと紙巻きタバコの違いと有害性を比較すると、見過ごせない事実が浮かび上がります。
紙巻きタバコは、乾燥させたタバコ葉を約800度で不完全燃焼させることで煙を発生させます。この燃焼プロセスこそが、一酸化炭素や多環芳香族炭化水素といった猛烈な毒素を生み出す元凶です。これに対し、アイコスはブレードや誘導加熱技術を用いてタバコ葉を約300〜350度で加熱し、ニコチンを含んだエアロゾル(蒸気)を吸引する仕組みを採用しています。確かに燃焼を伴わないため、一酸化炭素の発生量は大幅に抑えられています。
しかし、加熱式タバコのニコチンとタール含有量の実態を精査すると、安全とは到底呼べないデータが突きつけられます。タールとは「タバコ煙から水分とニコチンを除いた残留物(粒子状物質)」の総称であり、加熱式タバコであってもエアロゾル由来の粒子状物質は確実に肺へと吸い込まれています。さらに、脳の報酬系に直接作用して強烈な精神的・肉体的依存を引き起こすニコチンの体内吸収量は、紙巻きタバコとほぼ同水準であることが複数の公的機関の測定で証明されています。