たかが星、されど星。日本の折り紙の歴史を紐解けば、この小さな造形が持つ深遠さに圧倒される。近代折り紙の父と称される吉澤章は、紙に生命を宿す独自の「ウェットフォールディング」技法を確立し、単なる型遊びだった伝統工芸を国際的な彫刻芸術へと昇華させた。その精神は現代の超複雑系コンプレックス折り紙の旗手・神谷哲史へと受け継がれ、数学的・幾何学的なアプローチによって極限の緻密さへと到達している。
平坦な二次元の素材が、折り線(クリースパターン)という最小限のルールに従うだけで三次元の立体へと跳躍する。私たちが気軽に折るラッキースターの五角形構造もまた、古代ギリシャの黄金比と吉澤氏が探求した紙の塑性変形が交差する、れっきとした折り紙アートの系譜にある。紙を折るという行為は、数百年続く造形の知性を指先で追体験することにほかならない。