平成から令和への移行は、明治以降の近代憲政史において極めて画期的な出来事でした。過去の明治・大正・昭和の改元は、いずれも天皇の「崩御(逝去)」に伴う緊急の代替わりでしたが、2019年改元は「天皇の譲位(生前退位)」による平和的な改元として執り行われました。
この歴史的転換の契機となったのが、2016年(平成28年)8月8日に宮内庁から公表された、天皇陛下(当時)による「象徴としてのお務めについてのビデオメッセージ」です。
会見映像のなかで陛下は、「80を超え、体力の面などから様々な制約を覚えることもあり、これまでのように全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないか」と、自らの健康状態と高齢化に対する率直なお気持ちを表明されました。これが実質的な天皇退位の理由として国民に広く共有されることとなります。
当時の皇室典範には天皇の生前退位に関する規定が存在しなかったため、政府および国会は慎重に法整備を進めました。その結果、2017年(平成29年)6月に一代限りの措置として「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が成立。2019年4月30日に退位礼正殿の儀が行われ、翌5月1日に徳仁親王が第126代天皇に即位、明仁天皇は「上皇」となられました。
事前の準備期間が十分に確保されたことで、新元号「令和」は改元1カ月前の2019年4月1日に事前公表され、昭和から平成への移行時に見られた社会的な「自粛ムード」とは対照的に、街中が祝賀ムードに包まれるなかでの改元となりました。