ソクラテスの死後、その強烈な問題意識を継承したのが弟子のプラトンである。彼は師の対話法を体系化し、真理を探究するための学園アカデメイアを創設した。そこは既成概念を疑い、議論を通じて魂を善きものへと育てる知の実験場だった。
さらにその学舎から巣立ったアリストテレスは、師たちの対話精神を受け継ぎながらも、現実世界の徹底的な観察と論理的分類へと舵を切る。「すべての人間は、生まれつき知ることを欲している」と語った彼は、哲学の第一歩は世界の不思議さに驚嘆する「驚き(タウマゼイン)」にあると説いた。
自らの無知に気づくからこそ驚きが生まれ、驚きがあるからこそ知的好奇心の炎が燃え上がる。アカデメイアで育まれた批判的探求の系譜は、現代のあらゆる学問の遺伝子として息づいている。