副鼻腔炎で顔が痛い激痛の正体|片側・目の奥の危険サインと対処法

副鼻腔炎で顔が痛い激痛の正体|片側・目の奥の危険サインと対処法

副鼻腔炎で顔が痛い激痛の正体|片側・目の奥の危険サインと対処法の詳細解説をご紹介します。専門的な知識が詰まっています。

一般的に副鼻腔炎といえば「両方の鼻が詰まり、黄色い鼻水が出る」というイメージを持たれがちですが、専門医が最も警戒するのは副鼻腔炎で顔の痛みが片側だけに現れている症例です。

風邪を契機とする典型的な急性ウイルス性・細菌性副鼻腔炎は、多くの場合で左右両側に生じます。これに対し、片側だけに頑固な激痛や悪臭を伴う膿性鼻汁が集中している場合、背景には単純な風邪とは異なる3つの重大な病態が潜んでいます。

  1. 歯性上顎洞炎:奥歯の神経の死滅や歯周病の悪化により、歯根から上顎洞へ直接細菌が感染。痛む側の奥歯の治療を行わない限り、耳鼻科の薬だけでは何度でも再発を繰り返します。
  2. 副鼻腔真菌症(カビ):副鼻腔内にアスペルギルスなどの真菌が定着し、真菌塊(カビの塊)を形成。高齢者や免疫力が低下した人に多く、抗菌薬が一切効かないため手術による摘出が必要です。
  3. 副鼻腔内反性乳頭腫・悪性腫瘍:片側性の鼻閉や顔面痛、血混じりの鼻水が続く場合、良性腫瘍や上顎洞がんなどの悪性新生物が骨を破壊しているリスクを排除できません。

また近年、国の指定難病306号に認定されている「好酸球性副鼻腔炎」への関心が高まっています。この疾患は一般的な細菌感染による蓄膿症とは根本的に異なり、アレルギー性の白血球である好酸球が鼻粘膜に過剰集積することで発症します。成人喘息を合併しやすく、粘膜にキノコ状のポリープ(鼻茸)が多発して嗅覚障害を伴うのが特徴です。

好酸球性副鼻腔炎に対しては、従来の抗生物質投与や従来型の手術を行っても高い確率で再発を繰り返す難治性を示します。しかし2020年代以降、IL-4/13受容体を標的とする抗体製剤(デュピルマブなど)をはじめとする生物学的製剤による最新治療が臨床現場へ定着し、手術を繰り返していた難治性患者の鼻茸縮小や嗅覚回復において劇的な成果を挙げています。

そして決して見落としてはならないのが、副鼻腔炎から生じる頭痛や顔の腫れという危険サインです。副鼻腔を構成する骨の壁は非常に薄く、特に篩骨洞と眼窩を隔てる骨は「紙様板」と呼ばれるほど脆弱です。感染が骨を突き破って周囲に波及すると、以下のような命や視覚に関わる緊急事態を招きます。

  • 眼窩内合併症:まぶたが赤く腫れ上がる、眼球が前方に突出する、物が二重に見える(複視)、急激な視力低下。失明の恐れがあり緊急ドレナージ手術が必要となります。
  • 頭蓋内合併症:激しい頭痛、嘔気、意識の混濁、首の後ろが硬くなって曲がらない(項部硬直)。感染が脳を包む硬膜や脳実質に達し、硬膜外膿瘍や細菌性髄膜炎、脳膿瘍を引き起こす極めて危険な状態です。
山崎 陸
著者

山崎 陸

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