大手SNSや医療相談コミュニティを調査すると、「皮膚には赤みも虫刺されの痕もないのに、服が触れるだけで飛び上がるほど痛い」「家族に痛みを訴えても『何もないじゃないか』と取り合ってもらえない」という悲痛な声が無数に投稿されています。周囲から理解されにくい精神的孤立感は、神経障害性疼痛を抱える患者に共通する過酷な現実です。
都内の大学病院ペインクリニック外来で診療を行う専門医への取材によると、現場では「帯状疱疹の皮疹が出る直前に整形外科や心臓内科を受診し、湿布や心電図検査だけで異常なしと返された患者が、数日後に水疱だらけになって駆け込んでくるケースが年間を通して頻発している」といいます。背中や胸のピリピリ感を心筋梗塞や胆石発作と勘違いし、内科を受診したものの検査結果がすべて正常に出てしまい、原因不明のまま痛みに耐え続けたという闘病手記も散見されます。
最も深刻なのは、皮疹が出現してから抗ウイルス薬の内服を開始するまでに72時間以上が経過してしまったケースです。厚生労働省の疫学調査や皮膚科学会の臨床報告では、帯状疱疹の急性期に十分な抗ウイルス治療を行えなかった場合、50歳以上の約2割が帯状疱疹後神経痛(PHN)へと移行すると報告されています。水疱が完治して皮膚が綺麗に戻ったにもかかわらず、傷ついた神経線維が自律放電を続け、数か月から数年、場合によっては10年以上にわたって刺すような激痛や焼灼感が残り続けるのです。「初期のピリピリ感を放置した結果、定年後の生活が一変してしまった」という患者の手記は、早期受診の重要性を如実に物語っています。