体が火照っているとき、多くの人が反射的にやってしまうのが「氷嚢や保冷剤で首元や額を冷やし続けること」や「冷たいシャワーを一気に浴びること」です。しかし、医学的な観点から見ると、これはかえって症状を悪化させる致命的な間違いになり得ます。
冷たい氷や冷水を皮膚に直接当てると、冷覚受容器が刺激され、生体防御反応として交感神経が跳ね上がります。すると血管がギュッと急収縮し、熱を体外へ逃がすルートが完全に遮断されます。一時的なひんやり感が去った後、逃げ場を失った熱が体内に充満し、リバウンドによって最初よりも激しいほてりに襲われるのです。
もう一つの危険な誤解は、「平熱なのだから市販の解熱鎮痛薬を飲めば熱感が下がるだろう」という自己処方です。ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどの解熱薬は、炎症によって産生されたプロスタグランジンという発熱指令物質を遮断する薬です。自律神経の失調やホルモンの狂いによって生じているほてりには作用機序が全く適合しないため、胃腸粘膜を荒らすだけで身体の熱感は1ミリも改善しません。