ネット上やショート動画で頻繁に目にする「うねり対策の常識」の中には、毛髪科学的に見て逆効果となるものが散見されます。その筆頭が「乾燥するからヘアオイルをたっぷり重ね塗りする」という行為です。
オイルは本来、髪の表面を滑らかにして摩擦を減らし、水分蒸発を防ぐ「蓋(エモリエント剤)」としての機能しか持ちません。内部がスカスカに乾いたインナードライ状態の毛髪に、親水性の補修成分を入れずに重いシリコンオイルや植物油を過剰に塗り重ねると、髪の内部に水分が入る隙間が失われます。さらに、表面に残った古い油分が日中の紫外線やドライヤーの熱で酸化し、毛髪を硬化させてゴワゴワとしたうねりを助長する原因になります。
もう一つの典型的な誤解は、「湿気対策として朝に高温(180℃〜200℃以上)のヘアアイロンで力任せにプレスする」ことです。湿気で崩れるのが怖いために高温で何度も往復させると、毛髪内部のケラチンタンパク質が不可逆的に固まる「タンパク質変性」を引き起こします。生卵が熱で固まって目玉焼きになると元に戻らないのと同様、硬化した髪は吸水性を均一にコントロールできなくなり、外気湿気に触れた瞬間、反動のように激しく波打つようになります。アイロン温度は140℃〜160℃を厳守し、一度のストロークで滑らかに通すのが鉄則です。