心が傷つきやすい基盤はどこで形成されるのでしょうか。家族社会学や愛着理論の視点から検証すると、メンタルが弱い原因と育ちの影響は極めて密接にリンクしています。とりわけ幼少期に親から受けてきた評価軸が、成人後の自己基盤を大きく左右します。
「テストで良い点を取ったときだけ褒められた」「親の顔色をうかがわなければ家庭が荒れた」といった環境で育った子どもは、無条件の安心感を得られずに育ちます。その結果、他者からの承認を命綱とするようになり、健全な心理的バウンダリー(自他境界)を引くことが困難になります。他人の怒りや落胆をすべて「自分の責任」として背負い込んでしまう構造は、まさにこの境界線の曖昧さから生じるものです。
「毒親」や「過干渉な養育」の取材を進めると、親の過度な期待やコントロールによって主体的な意思決定の機会を奪われてきたケースが目立ちます。自分で選び、失敗し、そこから回復するという「レジリエンスの訓練」を経験しないまま大人になった結果、社会に出てからの予期せぬ挫折に直面した際、一気に心が折れてしまいます。