厚生労働省の賃金構造基本統計調査や民間転職市場の2026年データによると、製図家(ドラフター・設計技術支援)の平均年収は約438万円を推移しています。日本の給与所得者平均と同水準に見えますが、内訳を詳細に精査すると強烈なグラデーションが存在します。
プラント設計、重工業、自動車試作部門などで活躍する3D-CAD/BIM対応の熟練製図家の場合、40代前半で年収650万〜820万円に達するケースも珍しくありません。一方、下請け設計事務所や派遣型CADオペレーターとして図面修正のみを担当している層は、30代であっても年収300万円台前半で頭打ちになる事例が目立ちます。
ここで警鐘を鳴らしたいのが、転職サイトや求人広告で頻繁に見かける「製図家未経験求人」の構造的罠です。「未経験から図面のプロへ」「CAD研修完備で高収入」といった魅力的なキャッチコピーの背後には、キャリアアップの道筋が閉ざされた単純入力派遣の現場が隠されているケースが少なくありません。SNSや大手知恵袋などの投稿でも、「製図家として採用されたはずが、任されるのは図面の文字修正と寸法チェックだけで3年が過ぎた」「設計知識を教えてもらえる環境ではなかった」という切実な声が散見されます。未経験から製図家を目指すなら、「実務の中で設計思想や現場工法まで学べる育成体制があるか」を厳密に見極める必要があります。