インカムゲイン狙いの長期投資において最も避けるべき事態は「減配(配当金の減額)」です。減配が発表されると、期待していたキャッシュフローが途絶えるだけでなく、失望売りが殺到して株価そのものも大幅に値下がりします。取材班が数多くの決算書分析を通じて導き出した、減配リスクの見分け方における3大チェックポイントは以下の通りです。
第1に注視すべきは、利益のうちどれだけを配当に回しているかを示す指標である配当性向の安全水準です。通常、持続可能なビジネスを営む成熟企業であれば、30%から50%程度が適正とされます。これが70%を超えたり、100%に達していたりする場合、企業は将来の成長投資を削り、過去の蓄えを取り崩しながら無理やり配当を出している「タコ足配当」の状態にあります。ひとたび景気後退の波が押し寄せれば、即座に減配へ追い込まれる公算が極めて高いと言えます。
第2に、本業の稼ぎから生み出される「営業キャッシュフロー」が常にプラスであり、自由に使える資金である「フリーキャッシュフロー」が安定して黒字を維持しているかという点です。帳簿上の純利益は会計処理によって見かけを整えられますが、現金の出入りを誤魔化すことはできません。
第3に、自己資本比率が40%以上(金融機関を除く)あり、有利子負債が過大でないことです。不況期でもキャッシュリッチな企業は、一時的に利益が落ち込んでも内部留保を取り崩して配当を維持できます。近年、株主還元への強い意志を示す指標として累進配当(減配をせず、維持または増配のみを行う方針)を対外的に公約する企業が増えており、三菱商事や三井住友フィナンシャルグループなどのトップランナーは、長期保有を目指す投資家にとって強力な選択肢となっています。