Super Takumar 55Mm F1.8解剖|虹色フレアと名玉の真実

Super Takumar 55Mm F1.8解剖|虹色フレアと名玉の真実

Super Takumar 55Mm F1.8解剖|虹色フレアと名玉の真実の注目されている理由をコンパクトにまとめました。最新トレンドを一目で把握できます。

ネット上の掲示板や中古カメラレビューでしばしば議論の的となるのが、「アトムレンズは人体に危険ではないのか」「レンズが黄色く変色していて使い物にならないのではないか」という懸念です。この噂の科学的真実を徹底的に検証します。

放射線測定データが示すトリウムガラスの安全性

後期型Super Takumarの後玉等に用いられている「トリウムガラス」は、1960年代から1970年代にかけて各国の光学メーカーが高屈折率・低分散を実現し、色収差を補正するために競って採用した高機能硝材です。放射性同位元素であるトリウムを含有しているため微弱なガンマ線等を放出しますが、トリウムガラス放射線の安全性は公的な専門研究機関の測定によって実証されています。

レンズ後玉の至近距離で線量計を当てると数マイクロシーベルト毎時(μSv/h)程度の数値を計測することがありますが、カメラボディに装着して日常的に構える位置(目や胴体から数十センチ離れた状態)では、放射線量は自然界のバックグラウンドレベルと同等まで減衰します。胸部X線検査1回分(約50μSv)や国際線フライトでの被ばく量と比較しても極めて微弱であり、レンズを口に含んで生活するような極端な状況でない限り、健康被害を懸念する科学的根拠は皆無と言えます。

アトムレンズ黄変の真相と脱黄変メンテナンス

もうひとつの懸念であるアトムレンズ黄変の真相は、ガラス内部に含まれるトリウムが崩壊する際、結晶格子に欠陥(カラーセンター)を生じさせ、青色光を吸収してガラス全体が琥珀色・黄色に変色する経年現象です。これにより、撮影した写真全体がノスタルジックなウォームトーン(アンバー調)に傾きます。

この黄変を「オールドレンズならではのレトロな味」として楽しむユーザーも多数存在しますが、デジタルカメラ側のホワイトバランスを調整するか、RAW現像で補正すれば通常の色調へ容易に戻せます。さらに物理的な解消法として、「紫外線(UV)照射」が知られています。レンズ前後にUVカットのない強い紫外線LEDライトを数日〜1週間ほど照射し続けると、励起された電子が元の格子位置に戻り、驚くほどクリアな透明度を取り戻すことが可能です。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。