1969年に放送を開始したTBS系バラエティ番組『8時だョ!全員集合』は、最高視聴率50.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という驚異的な記録を打ち立て、加藤茶さんは名実ともに国民的スターへと上り詰めました。
「カトちゃんペッ!」「タブー」の官能的なメロディに合わせて踊る「ちょっとだけよ」「あんたも好きねぇ」といった爆発的ギャグは、過密な生放送の現場から偶発的かつ必然的に生まれました。当時、ストリップ劇場の客席観察から着想を得たという「ちょっとだけよ」は、PTAからの抗議を巻き起こしながらも、お茶の間の子どもから大人までを熱狂させ、社会現象へと発展しました。
その華やかな舞台裏で存在したのが、リーダー・いかりや長介さんとの熾烈な関係性です。ネタの細部にまで完璧主義を貫き、ギャラ配分や演出を厳格に取り仕切るいかりやさんに対し、加藤さんは現場の直感とアドリブで勝負する天才肌。時には激しい口論や対立が生じ、グループ脱退を真剣に考えた時期もあったと、自著や特番インタビューで述懐されています。
しかし、1986年にスタートした『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』で志村けんさんと新境地を開拓し、ドリフの枠を超えて成功を収めた後、二人の関係は「師弟」から「戦友」へと昇華していきました。2004年にいかりやさんが逝去した際、加藤さんが残した「長さん、あんたは偉い人だった」という言葉には、半世紀に及ぶ葛藤を乗り越えた深い敬意が込められていました。