期待値思考の実践例として世界を驚かせたのが、映画『ラスベガスをぶっつぶせ』の題材にもなったマサチューセッツ工科大学(MIT)のブラックジャック・チームの実話だ。彼らはイカサマを使ったのではない。場に出たカードを記憶するカウンティングによって、プレイヤー側の期待値がプラスに転じた瞬間を正確に捉え、そのタイミングで賭け金を跳ね上げるという数理戦略を徹底したに過ぎない。
カジノを震撼させたこの数理的アプローチは、デジタルプラットフォームの基盤技術へと引き継がれている。Netflixが視聴者の離脱を防ぎ、最適なコンテンツを提示するレコメンドシステムや、YouTubeがユーザーの視聴維持率を最大化するために裏側で回している推薦エンジン。それらの根底にあるのは、各ユーザーに対してどの動画を表示すれば総エンゲージメントの期待値が最大化されるかという、終わりのないリアルタイム計算である。
カジノのテーブルから巨大テック企業の配信サーバーに至るまで、世界を動かしているのは感情の熱量ではなく、精緻に計算された期待値の積み重ねだ。その計算構造を読み解くリテラシーを持つ者だけが、仕掛けられる側から仕掛ける側へと回ることができる。 (出典: 期待 値 求め 方(Yahoo!ニュース))
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