伊達公子さんの半生と現在地を振り返るとき、そこには現代を生きる私たちが人間関係やキャリアを築く上で、極めて示唆に富む人生哲学が浮かび上がってきます。
家族社会学や心理学の視点から見ると、多くの破局は「期待の押し付け」や「心理的境界線(バウンダリー)の崩壊」から生じる共依存に起因します。しかし伊達さんとクルム氏の関係は、お互いが自己の確立されたプロであり、相手の尊厳を最後まで傷つけない「自立的パートナーシップ」のお手本でした。関係性が変化したときに無理やり形骸化した結婚にすがるのではなく、感謝を込めて手放し、次のステージへ進む勇気を持っていたからこそ、離婚後も真の友人として互いを祝福し合える境地に達したのです。
そして50代での再婚。「人生の後半戦でも、自分に嘘をつかず、必要以上に気負わないパートナーシップを選び直すことができる」という彼女の実践は、年齢という見えない枠に縛られがちな日本社会において、爽快な道標となっています。