高級ヘアブラシの代表格である豚毛・猪毛ブラシや、伝統的なつげ櫛・木製コームにプラスチックと同じ洗い方を施すと、修復不可能なダメージを負ってしまいます。
天然木を使用したくしにおいて水洗いが厳禁とされる理由は、木材が水分を急速に吸収することで繊維が膨張し、乾燥時に急激に収縮して「歪み」や「ひび割れ」を引き起こすためです。表面の保護ニスやコーティングが剥がれ、光沢が失われるだけでなく、内部からカビが発生する原因にもなります。
【つげ櫛の伝統的な椿油お手入れ法】
1. 乾いた歯ブラシや専用ハケで、歯の間のホコリをやさしく掻き出します。
2. 浅いトレーやつげ櫛全体に純度100%の椿油を適量塗り広げ、20〜30分ほど放置して油分を汚れに馴染ませます。
3. 浮き上がってきた汚れを、糸(木綿糸など)を歯の間に通して滑らせるか、歯ブラシでやさしく拭い取ります。
4. 最後に清潔な乾いた布やキッチンペーパーで余分な油をしっかり拭き取ります。椿油が木肌に浸透することで、静電気を抑え、しっとりとした髪のツヤを引き出す本来の性能が蘇ります。
【豚毛・猪毛ブラシのシャンプー洗浄手順】
天然獣毛は人間の髪の毛と同じタンパク質でできているため、強アルカリ性の重曹を使うと毛がバサバサに傷んで折れてしまいます。洗浄にはアミノ酸系シャンプーを使用するのが最適解です。
洗面器にぬるま湯を張り、シャンプーを数滴溶かして泡立てたら、ブラシの毛先だけを浸して手早く振り洗いをします。木製ハンドル部分まで水没させないよう注意し、すすぎも素早く行います。水分を切った後は、毛を下向きにしてタオルの上に置き、風通しの良い日陰で24時間以上かけて自然乾燥させてください。
日々のメンテナンスには、毛の間に溜まった髪の毛やホコリを掻き出す金属製の熊手型ヘアブラシクリーナーを1本常備しておくと、水洗いの回数を最小限に抑えられ、ブラシの寿命を格段に延ばすことができます。