なぜ、これほどまでに黄猿というキャラクターは人々の記憶に突き刺さるのか。その答えを探るには、昭和の映画黄金期にまで時計の針を戻す必要がある。
尾田栄一郎氏が『ONE PIECE』の海軍大将たちに実在の往年の名優たちを投影したことは有名な話だ。青雉(クザン)に松田優作氏、赤犬(サカズキ)に菅原文太氏、そして黄猿(ボルサリーノ)に田中邦衛氏。このキャスティングとも言える意匠は、昭和シネマへの深い敬意から生まれた。特にボルサリーノというコードネーム自体、アラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドが共演した名作ギャング映画『ボルサリーノ』から採られており、そこに田中邦衛氏の容姿と演技スタイルを組み合わせるという発想の飛躍が、唯一無二の存在感を放つキャラクターを生み出した。