まず押さえておきたいのが、この言葉の基礎知識です。「荼毘に付す」の読み方は「だびにふす」と読みます。日常生活では滅多に見かけない「荼」と「毘」という漢字が使われていますが、これは古代インドの公用語である仏教用語・サンスクリット語の「jhāpita(ジャーピタ)」の音を漢字で写した当て字(音写語)に由来します。
ジャーピタの原義は「燃焼させる」「火葬する」という意味を持ちます。仏教の開祖である釈迦(ガウタマ・シッダールタ)が入滅した際、弟子や信者たちがその遺体を香木で火葬し、遺骨(仏舎利)を各地の仏塔に分骨して手厚く供養した故事が荼毘に付すの語源・由来となっています。
そして後半の「付す(ふす)」は、「その状態に委ねる」「その処置を行う」という意味を持つ動詞です。つまり、「荼毘に付す」という表現は、単に肉体を炎で燃やす物理現象だけを指すのではなく、火の力によって肉体を滅し、魂を迷いから解き放って極楽浄土へ送り届けるという神聖な宗教儀礼そのものを表しています。