議論を整理するために、まずはインフレとデフレの違いを基本から紐解きます。インフレ(インフレーション)とはモノやサービスの価格が上がり続け、相対的にお金の価値が下がる状態です。対してデフレ(デフレーション)は物価が下がり続け、お金の価値が上がる状態を指します。
かつては「1万円札で買えたモノ」が、インフレが進むと買えなくなります。たとえば1個100円だったリンゴが200円になれば、同じ1万円で買える個数は100個から50個へと半減します。これは額面上の預金額が変わっていなくても、実質的な資産価値が半分に目減りしたことを意味します。これがインフレのデメリットであり生活への直接的な影響です。
一方、デフレのメリットは「買い手優位」になる点にあります。何もしなくてもお金の価値が高まるため、現金をそのまま銀行に預けておくだけで購買力が増していきます。安価なチェーン店やプライベートブランドが台頭し、手取りが増えなくても生活水準を維持しやすいという錯覚を生み出しました。しかし、その裏には恐ろしい罠が仕掛けられていました。モノが安くしか売れないため、企業の売上は減り、従業員の給与は削られ、設備投資は凍結されます。これが社会全体を蟻地獄へと引きずり込むデフレスパイラルです。