猫エイズの主要な感染経路は「深い咬傷(ケンカによる噛み傷)」です。ウイルスは主に感染猫の唾液中に多く含まれており、皮膚を貫通して血管や皮下組織に唾液が直接注入されることで感染が成立します。そのため、外で激しい縄張り争いやメスを巡るケンカを繰り返す未去勢の野良猫(特に雄猫)において感染率が高くなる傾向があります。
一方で、日常生活における接触感染のリスクについては、一般に過大視されている側面があります。以下のようなシチュエーションでの感染確率は極めて低いことが獣医学的に証明されています。
- 空気感染・飛沫感染:ウイルス自体が空気中を漂って感染することはありません。
- 食器やトイレの共有:ウイルスは乾燥や熱、一般的な消毒液に弱く、体外へ出ると短時間で感染力を失うため、食器やトイレを介した感染は通常起こりません。
- グルーミング(毛づくろい):皮膚に傷がない状態での軽い舐め合い程度では感染のリスクはほぼ無視できるレベルです。
- 交尾や母子感染:交尾時に首の後ろを強く噛み破る行為(ネックバイティング)があれば感染しますが、精液そのものからの感染率は低く、母子感染も胎盤バリアや抗体の影響により約数%から十数%程度と限定的です。