SNSやネット掲示板(5ちゃんねる、Yahoo!知恵袋など)を精査すると、「サーキュレーターをエアコンの真下に置いているのに全く涼しくならない」「運転音がうるさいだけで効果を実感できない」という書き込みが散見されます。それらの投稿写真や間取り図を詳細に分析すると、驚くべき共通項が浮かび上がってきました。その大半が背中合わせ設置がNGな理由を理解しないまま設置されていたのです。
典型的な失敗例が、エアコンの真下にあるテレビボードや棚の上にサーキュレーターを置き、エアコンと同じ正面を向かせて稼働させている状態(背中合わせ設置)です。これを行うと、エアコンが吹き出した直後の気流をサーキュレーターの後方吸込部が強烈に巻き込んでしまいます。これにより、室内全体を巡るはずだった気流のサイクルが破綻し、エアコンの周囲だけで空気がグルグルと空回りする「ショートサーキット現象」が発生します。
都内の大手家電量販店で空調機器アドバイザーを務める専門スタッフは、次のように警鐘を鳴らします。
「お客様から『新調したサーキュレーターの効きが悪い』とお問い合わせをいただき、設置状況を伺うと、8割近くの方がエアコン直下に背中合わせで置かれています。エアコンの前面から吐き出された空気が床に届く前にサーキュレーターの吸気口に引っ張られ、室内機周辺の狭い空間だけで気流が完結してしまうのです。結果として部屋の奥には風が届かず、エアコンのセンサーだけが局所的に冷え(暖まり)、機械が省エネセーブ運転に入ってしまう。これではせっかくのサーキュレーターが『邪魔な送風機』と化してしまいます」
また、窓際に向けてサーキュレーターを直撃させる配置も厳禁です。夏の強烈な西日によって熱を持った窓ガラスや、冬の冷気で冷え切ったサッシに向けて強風を当てると、熱交換が促進されて部屋の負荷が激増します。サーキュレーターの風は「何もない壁面」や「天井の角」に向けてバウンドさせるのが流体力学上の黄金律です。