広島路面電車でSuicaは使える?2026年最新の乗車ルールと真相

広島路面電車でSuicaは使える?2026年最新の乗車ルールと真相

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なぜ広島電鉄は、全国的に普及しているSuica等のICカードシステムとは別に、巨額の投資を行って独自の新決済システムを導入したのでしょうか。関係各社の取材や交通政策の資料を精査すると、地方公共交通が直面する莫大な維持更新コスト問題が浮かび上がってきます。

従来の「サイバネ規格」に基づく全国共通の交通系ICシステムは、カード内部にデータを蓄積し、瞬時に運賃を計算する極めて高度なハードウェアです。しかし、機器の更新費用は数十億円規模に膨らみ、全国の地方私鉄やバス事業者の経営を圧迫し続けてきました。広電がPASPY廃止を決断したのも、老朽化した車載器の更新費用が最大の引き金でした。

そこで広島電鉄が採用したのが、サーバー側で残高や会員情報を管理するABT(Account-Based Ticketing)方式の「新型運賃収受システム」であるMOBIRY DAYSです。運賃計算を車載器ではなくクラウド上で行うことで、車内端末を簡素化し、将来の改修コストを劇的に圧縮することに成功しました。

しかし、全国相互利用のネットワークから完全に離脱すれば、平和記念公園や厳島神社を目指して世界中から訪れる年間数百万人の観光客を締め出すことになります。そこで広島電鉄は、JR西日本が提供する簡易型IC決済ネットワークを補完的に採用しました。車内にMOBIRY DAYSとは別のコンパクトなICOCA・Suica専用アンテナを併設することで、相互利用の利便性を死守したという構造的な背景が存在します。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。