椎茸の種類で味が激変!どんこ・香信の選び方とプロ直伝の活用術

椎茸の種類で味が激変!どんこ・香信の選び方とプロ直伝の活用術

椎茸の種類で味が激変!どんこ・香信の選び方とプロ直伝の活用術にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。

「椎茸はどれも同じ」という思い込みを覆すのが、各地の育種研究所が威信をかけて開発したプレミアム品種の存在です。日本におけるきのこ産業の歴史は品種改良の歴史でもあり、一般財団法人日本きのこセンターが育成した登録品種群はその中核を担ってきました。

国内の高級椎茸品種一覧を俯瞰すると、ひときわ異彩を放つのが鳥取県発の菌興115号とっとり115号です。日本きのこセンターが開発した原木用大型品種「菌興115号」は、厳しい寒期にゆっくりと育つ極上の性質を持ち、傘の厚みが通常の椎茸の2倍から3倍近くに達します。鳥取県はこの品種の中から、傘の直径7cm以上、厚み約3cm以上、巻き込みが8割以上という厳格な基準を満たしたものだけを選別し、「とっとり115号」の最高峰ブランド「鳥取茸王(とっとりたけおう)」として市場に送り出しています。その断面はまるでアワビや上質なヒレ肉のようであり、1玉数百円から千円を超える値がつくことも珍しくありません。

全国の産地が誇る主な銘柄群にも注目すべき特徴があります。

  • 鳥取茸王(鳥取県):「菌興115号」から厳選。驚異的な肉厚感と、加熱した際に溢れ出る甘いエキスが特徴。ステーキ専用椎茸としての地位を確立。
  • のとてまり(石川県):能登の奥深い自然で育つ菌興115号の選抜ブランド。傘径8cm以上、肉厚3cm以上、巻き込みの美しさを極めた冬の芸術品。
  • 天恵菇(てんけいこ / 徳島県ほか):高機能な菌床栽培技術により、直径10〜15cmほどに巨大化させた規格外の品種。苦味や雑味が極めて少なく、純粋な旨味が口中に広がる。
  • 飛騨やまっこ(岐阜県):冷涼な飛騨の山水で育てる菌床肉厚椎茸。丸くコロコロとした可愛らしい見た目と、締まった歯切れが魅力。

こうした銘柄を支える椎茸の旬の時期と名産地の構造にも目を向ける必要があります。乾椎茸の生産において全国の約半分を占める絶対的な名産地が大分県です。大分のクヌギ林が生み出す原木乾椎茸は、国内外の一流料亭から絶大な信頼を集めています。一方、生椎茸の生産量では徳島県や岩手県、静岡県などが上位に君臨しています。

生椎茸の本来の旬は年に2回訪れます。春の訪れとともに芽吹く「春子(はるこ:2月〜4月)」は、冬の寒さに耐え抜いたため身が引き締まり濃厚な味わいを宿します。そして秋の雨露を受けて一斉に生え揃う「秋子(あきこ:9月〜11月)」は、瑞々しい芳香と柔らかさが際立ちます。通年手に入る菌床椎茸であっても、気温の移ろいに合わせて産地のリレーが行われており、季節ごとの風味の機微が存在します。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。